皮膚疾患豆知識ブログ

プロトピック軟膏の使い方のコツ

2020年05月17日
アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎によく処方される塗り薬にステロイド軟膏とプロトピック軟膏(ジェネリックはタクロリムス軟膏という名前です)があります。

このプロトピック軟膏はよく顔や首のお薬として処方されることが多いです(体・腕・脚にも使用されます)。

なぜかと言うと、人体の中で顔や首の皮膚は薄くステロイド軟膏の影響が出やすいからです。

ステロイド軟膏は有効成分の粒が小さいため、正常な肌からも有効成分が吸収されてしまいます。そのため、長期間にわたり強いランクのステロイドを使っていると、肌が薄くなるトラブルが出てきます。

それに比べ、プロトピック軟膏は有効成分の粒が大きいため、正常な肌には吸収されず、湿疹のある肌にしか吸収されません。

効くべきところに効いて、よくなったところやもともと正常な肌のところにはほとんど吸収されない。それがプロトピック軟膏の特徴なのです。

ステロイド軟膏のようなトラブルが起こりにくいため、それらが起こりやすい顔や首にプロトピック軟膏が使われることが多いのです。

しかもこのプロトピック軟膏は日本生まれなのです。

ですが、あまり普及していないように感じるのはなぜでしょうか?

その理由は使い始めの時期の刺激感にあります。

プロトピック軟膏の使い初めに、余計に肌が赤くなりカッカした灼熱感やヒリヒリした刺激感が出てしまうことがあります。

1週間ほど塗り続けるとその刺激感はなくなりますが、けっこうな刺激のためドロップアウトしてしまう方が多いのが現状です。

その刺激感のために自分には合わないと塗るのを止めてしまった人も多いのではないでしょうか?

さて、ここからが本題です。

その刺激感を減らすためのコツをお教えします。

それは・・・

まずステロイド軟膏で湿疹を軽症にしてから、プロトピック軟膏を使い始めることです。

刺激感はプロトピック軟膏の有効成分の粒が肌の知覚神経に働きかけるために起こります。

湿疹がひどい(炎症が強い)と有効成分が大量に吸収されるため刺激感がでやすいので、湿疹を軽く(炎症が弱い)してから塗り始めると問題なく使えることが多いのです。

湿疹がひどいときはステロイド軟膏から始めて、落ち着いてきたらプロトピック軟膏に切り替えるとよいでしょう。

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