皮膚腫瘍を切除する場合、腫瘍の周りをメスで切って縫い合わせる。
例えば円形の腫瘍があったとしたら、腫瘍の周囲をメスでクルっと切り取って、円形に穴が開いてしまったところを縫い合わせる。
そう思っていませんか?
実はそうではないのです。
実際は人の目のような形、『紡錘形』にデザインをして切り取ります。
黒目が腫瘍だとしたら白目の余白部分が必要になってくるのです。
紙の中央を円形に切り取り、穴が開いている部分を縫うようによせてみてください。
両端が持ち上がり犬の耳みたいに見えるため、われわれはこれをDog earと呼びます。
Dog earになってしまうと縫ったところの皮膚が平らではなくなってしまい、不格好に見えてしまいます。
それを防ぐために基本的には腫瘍の短径の3倍の長さで切除しなければならないのです。
そのため縫った後の傷も腫瘍の大きさの3倍の線となります。
たいしたことないと思っているできものも、いざ切除してみると思いがけない大きさの傷跡になります。
皮膚腫瘍はあまり大きくならないうちに切除を検討してください。